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親愛なる・・・ [日常生活]

先日、開業して5年目にして(この仕事をし始めて初めてかもしれない)休日をもらいました。
「1週間」です

以前、身体を壊して数カ月寝込んでいたことはあったのですが
そういう「どうしようも動けない」という休職以外の
久しぶりのお休みでした。
お正月とかね、GWとか
そこそこのお休みは、有ったような無いような・・・そんな職種なので
完全休養って、この仕事には気持ち的にあんまりないんです

「お休みなんだ」って響きだけでも憧れるものでした。
私には仕事は生き甲斐で、今の私の全てだから。
毎日それなりにとても楽しいんです。


でもね・・・それでもね、本当はホンノ・・・ちょっと、心も何も、最近弱っているなって・・・ちょっとだけ自覚があったんだよね。


大学病院時代から
そしてその後ずっとずっとずーっと
私はこの仕事を結構愛して続けています

でもね、それでも最近ちょっと息切れしてしまうようなことが沢山あって
人のエゴやら偽善やら、嘘やら虚栄やら
嘘を塗り固めたような人の形をした「人じゃない生き物」なんかにも驚いて

いろいろなものに本当にちょっと、ほんのちょっとパワーダウンしていました


「大学病院時代なら
こんな検査を提案できるパワーはあったし
この病気なら治せる(治すんだ!)っていう意気込みがあった。

それが最近、相手(その動物)を診て、一瞬 「こりゃだめだ」と思うことがでてきてしまった。
そして、その子がその通り「だめだった」時
その時の虚無感がたまらなく悲しい
私が先に見捨ててしまったような気がするんだ。
大学時代の意気込みの私なら、死ななくて済んだのかもしれない。
ちょっと前の私なら・・・イケタかもしれない。

それなのに、今の私はほんの一瞬でも「だめだ」と思ってしまった。そしてその子は死んでしまった。
私がこんなに弱ってしまったから、先に病気に負けてしまったから・・・かな」


私はそんな弱音を
先日相方に溢してしまいました

あいつだって同じ職業で
毎日同じように闘っているんだというのに。

私の言葉をビール片手に、しばらく明後日の方向を見ながら聞いていた相方は
おもむろに私の方を向いて、厳しい面持ちで言いました。

「シャスセンセ。それは傲慢だよ。
センセは昔より病気が診れるようになった。予想がたてられるようになった。
あんたはそれだけの修羅場を診てきた。
だから、嫌なことも最期のことも診取れるようになっちゃっただけなんだよ」

「今まで、普通に毎日検査を提示してきたんでしょ?臆さず治療をしてきたんでしょ。
それを選択するかどうかは、相手次第なんだよ。
今はそれができないってなら、それはあんたのパワー不足なんだけれども
命をってのは、俺たちにどうこうできるものじゃない。
それをどうこうできると思うのは、傲慢ってものだ」

その言葉を聞いて、私はなんだか眼の覚める思いで
私が休んでいた1週間
うちの患者を引き受けてくれていた彼を見て

私は仲間にとても恵まれているんだと
周りに助けられて支えられているんだと
そう感じました。

私の言葉にただ頷くだけでもなく
ただ賛同だけするのではなく

それが傲慢だと言ってくれる仲間

私たちは、「病気を治す」のではなく
病気と闘う動物たちの生きる力を
ちょっとだけ補助すること

でもそれは、決して責任を逃れるための言葉ではなく
命に対して傲慢にならないための心



親愛なるものたちよ
ありがとう。



タグ:仕事 医療
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Zin

諫言であると同時になんと優しい言葉でしょうね。
お互いを高め合えるような、素晴らしい友人がいるのも人徳ですね~!
環境は人をつくり、人は環境をつくる。
そして、幸運と、目には見えないところで支えてくれる沢山のファクターに感謝を。
人生はそれの繰り返しですね。

by Zin (2010-11-23 17:24) 

あお

あ、やはり・・・、獣医の先生だったのですね
うちの2羽(チャガシラハネナガ)はまだ若く健康で
年2回、定期健診に行く程度ですが
主治医の先生のパワーと優しさに、こちらまで
元気をもらって帰ってきます
大変なお仕事だと思いますが頑張っていただけたらと・・・
by あお (2010-11-25 03:02) 

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